建物が密集する大都会と、田園風景が残る都市が小さな山一つを挟んで隣り合っている。
西を向けば自然が一切排除された人口の空間。
東を向けば自然と人口が適度に調和された空間。

今いる地点は奈良県の生駒地区。
縦に長い奈良県の北西部の生駒市と生駒郡に位置します。
同じ内陸国で似た形を持つ長野県で表すと白馬村辺りに位置する所です。

この2つの対局の世界の間に寝転んでいるのが生駒山と信貴山。生駒山脈を成す約600mほどの小さな山です。
この小さな山脈を大阪側、奈良側から越えると前後に別世界が同時に広がるのです。

奈良に都があった時代、秀吉が大阪城を築いた時代。
現在の大都市大阪府と駘蕩とした奈良県。
「600mの山一つ越えるだけで大都会と田舎を目前に行き来することが出来る」
古代から今現在に至まで、生駒山脈を挟んだ都会と田舎を越えた人はこう思ってきたのではないのでしょうか。
関八州にこのような山脈、峠はありません。
江戸、現在の都内ではすぐ側に山はありませんから、生駒のような感動を体験することが出来ません。

このように日本の古い時代からの2大都市を繋ぐ生駒地区。
東西へと人々の往来が現在も盛んに行われ、生駒と大阪を繋ぐ道路の魅力を体感することが出来ます。

その体験も多様性のある充実した道路体験となることでしょう。
この地区には個性がはっきりとした道が数多く存在しているからです。
奈良県唯一のスカイラインがあり、日本一の急坂国道があり、山頂の快適な快走路があり、日本の政治の中心地を繋いだ歴史の古い絶景峠が2つ、気軽に赴けるワインディング路。
南北約15kmの区間内で、これほど個性に満ちた道路を持ち合わせる地区は日本でもそうないのではないでしょうか。

本記事は、個性に満ちあふれた生駒のみちがどのような所なのかを綴ります。
青年時代に生駒山麓の平群盆地で過ごしてきた身として、今回の記事は私にとって身近な世界を書くことになります。
現在では見ることが叶わなくなった生駒の風物詩。
生駒、信貴を取り巻く道路の魅力など、少年時代からの記憶を思い起こしながら書いていこうかと思います。

【地元民の道】 走り屋が駆け抜けた週末の風物詩 奈良県道236号線

奈良県道236号線(以下、r236)は、ほとんど地元民が使うような道路であるため、ここではこの道路が現在と過去とでどのように違っているのかをお話しします。
観光で訪れる様な道路ではありませんから、道路の特徴が見える次項の「大阪府道183号線」から始められたほうが良いかもしれません。

「今週末はどのようなスポーツカーが通るんだろう」。
免許を取得することができない青年時代の筆者にとって、r236はこのような好奇心を沸き立たせる道路でした。
r236の終点であると同時に公道レースの入口でもあった夜間無料開放の生駒スカイラインが存在していた時代です。

現在は、地元住民の生活道路か、十三峠へと夜景を鑑賞する通過点、信貴参詣道路として静かな道としての印象が強くなっています。

今は懐かしき賑やかな時代のr236。

走り屋の車が週末の夜に生駒スカイラインを目指しr236を通過していた時代ほど、周辺住民がこの道を意識していたことはないでしょう。
私のように好奇心を持つ人間もいれば、音の大きさに迷惑をしていた人間もいます。
青年時代であれば好奇心の目で見ることはできるのでしょうが、大人から見れば迷惑以外の何ものでもなかったのです。
信貴スカイラインへ集まる車が多くなり、やがて生駒市と生駒郡の中で騒音問題として大きく取り上げられます。
自宅にはこの騒音問題に関する回覧板が回ってきたことを今でも覚えています。
やがて、生駒スカイラインは夜間無料開放を取りやめ、走り屋たちも自然と足を運ばなくなりました。
わたしが高校生の時に完全有料化したので、12年の歳月が経っています。

週末の風物詩であった走り屋の車たちも今となってはこのr236でその姿を表わすことはありません。
2005年までここで暮らしていた住民のみが知る懐かしき時代であります。

【3分ワインディング】おもろい大阪の田舎道。JR河内堅上駅へ 大阪府道183号線

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【快走路】信貴フラワーロード 生駒地区No1快走路 

散歩程度に車を気持ちよく走らせたいと思えばこの道でしょう。
明日に迫る月曜日の前に、週末の締めとして夕方によくここを走らせたものです。
如何にも地元の人間以外知らないような山頂界隈の道路ですが、この道は生駒山脈の道路で独自の役割をちゃんと担っています。

生駒山脈の道路の中では一番の快走路です。

信号機が全線に渡って設置されておらず、完全二車線、舗装も綺麗、交通量も少ない、景色も広く直線が多いため爽快に走ることができるのです。
信貴山脈道路の特徴を見てみると信貴フラワーロードが快走路の役割を持っていることがわかります。
生駒スカイラインは20km区間に直線が少ない。
十三街道、暗街道はほぼ1.5車線の峠道。
大阪府道183号線はワインディング路線。
いずれも快走路とはいえません。

信貴フラワーロードは、他の生駒山脈道路にはない快適な要素が多く詰まっているNo1の快走路なのです。

【有料道路】個性的な無料道路に囲まれた悲運の絶景道路 信貴生駒スカイライン

十三街道、暗街道、信貴フラワーロード、大阪府道183号線。
信貴生駒スカイラインの周りには、それぞれ独自の個性を持った道路が点在しています。
悲しいことに、この周りを取り囲む道路を訪れることで、信貴生駒スカイラインが持つ特徴をほぼ網羅することができるのです。
通行料金の高い有料道路であり、周りの無料道路で目的をまかなえるとなれば、このスカイラインを選ぶ必要が無くなります。
筆者も夜間無料開放時代は、度々ここを訪れましたが完全な有料道路となってからはほとんど訪れていません。
この道路を通行料を払ってまで走るには、何を知る必要があるのでしょう。

それは、信貴生駒スカイラインにしかないものを知ることで解決できます。

生駒地区の主な道路要素である夜景、ワインディングは周りの道路で達成することが出来ます。
要素は同じでも、規模の視点で見ると生駒スカイラインを選ぶ理由を作ることができるのです。
生駒スカイライン独自の特徴を見てみましょう。
・奈良県と大阪府の夜景を同地点で両方鑑賞することができる。
・奈良県と大阪府の夜景を生駒山脈最高地点から鑑賞することができる。
・20kmのワインディング道路を走ることができる。
大きな特徴は上の3点です。
周りの他の道路では達成することが叶わない要素です。

高額な通行料金を前に、通行するかどうか判断に迷うことがあれば、そのものの独自の特徴を知ることで解決に進むはずです。

【絶景峠道】十三街道 十三峠 表十三と裏十三

奈良県と大阪府のカップル、仕事帰りのおじさん、神戸から夜景を見に来る家族。
この峠には、畿内の多くの人々が夜景を楽しみにやってきます。
筆者もこの峠との付き合いは古く、車を初めて載った18歳の頃まで遡ります。
青春真っ只中の青年であれば、初めて訪れた時の印象を忘れることはないでしょう。
峠道らしいワインディングもあり、大阪府では数少ない山道をここで体験することもできるのです。

十三峠は生駒山脈の道路の中で最も賑やかな場所です。

十三峠の夜景といえば車を所有する奈良県生駒界隈、大阪府の八尾市界隈の若者であれば、ほとんどがこの存在を知っています。
有料道路ではなく、峠を登ればすぐ車内から夜景を鑑賞することができるのですから、生駒の夜景の中でも一番気軽に訪れることが出来ます。
仕事帰りの人や、カップル、旅行者が昼夜問わずこの峠に訪れるのです。

また、夜景だけでなく大阪のヒルクライムの聖地としても走り屋の中で認識されています。
奈良県側の道を表十三。
大阪府側の道を裏十三と区別すると、裏十三がヒルクライムです。
オープンカーもこの峠をよく訪れます。
スポーツカーを走らせるには絶好の道でもあるのでよりこの峠が賑わいます。

夜景を鑑賞に来るもの、峠道を攻めに来る車。
生駒山脈の道路では、最も人の往来が賑やかな所がこの十三峠なのです。

【歴史街道】暗街道 暗峠 酷道たる所以はすでに...

両方のサイドミラーを下ろして、路肩との距離を確認しながら進む。
冷や汗を流しながら時速5km未満で一歩づつ進める。
余裕が全くない車一台分丁度の道幅。
戻るより進めたほうが安全。
不安が募り、助手席の相手に協力を求める。
19歳の時に体験したこの衝撃的な記憶は今でも鮮明に思い出すことが出来ます。

たかが15mほどの距離。
この15mが国道308号線(以下R308)の最大の難所でした。
この初体験から11年の時が経ち、酷道308号線は徐々に改良されてきています。

酷道として名高いR308ですが、現在は脱輪事故が頻発した15m区間が消滅したので以前の様な難易度の高い酷道ではありません。

暗越奈良街道が通行止めになるといえば、殆どの場合脱輪が原因でした。
この危険区間が解消されたわけですから、酷道としての難易度も極端に下がったのです。
日本一の急坂酷道とて有名ですが、勾配が異常なだけで、事故の多発や鬼気迫る体験をするほどのものではありません。
R308を酷道たらしめていたのは脱輪であり急坂ではないのです。

このように、全国的にも酷道区間の事故が多発する箇所は徐々に整備されていくので、R308も緊迫感のある酷道とは言えなくなりました。